目次 トレチノインとは 2 トレチノインの効果 3 シミの改善 3 しわの改善 4 トレチノインの副作用 5 レチノイド反応が起こる 5 レチノイド反応が治まるまでの期間の目安 5 レチノイド反応が出やすい人の特徴 6 トレチノインを使用するときの注意点 6 紫外線対策を徹底する 7 保管方法や使用期限は医師の指示に従う 7 トレチノインを使用できないケースもある 7 トレチノインに関するよくある質問 8 トレチノインの治療期間は? 8 トレチノインを塗り始めても皮剥けが起こらない場合は? 8 レーザー治療との併用は可能? 9 ハイドロキノンとの併用は可能? 9 まとめ トレチノインはしわやシミの治療に使われる薬の一種です。 人間の体内にある成分を含有した薬のため、アレルギー反応が起こる可能性が低い薬です。 ただし使用に際し注意が必要なポイントがいくつかあるため、あらかじめ理解しておくことが大切です。 この記事では、トレチノインの主な効果や副作用について解説します。 トレチノインを使用するときの注意点やよくある質問もまとめているため、お肌の悩みがある方はぜひ参考にしてみてください。 トレチノインとはトレチノインはビタミンA誘導体で、生理活性(生命活動の維持・調整のために作用する性質)がビタミンAの50〜100倍あります。 正式にはオールトランスレチノイン酸と呼ばれる物質で、主に表皮角化細胞のターンオーバーを促進する作用を持ちます。 表皮を作る角化細胞には、肌が成長して脱落していくまでの『ターンオーバー』というサイクルがあり、このサイクルを促進することによって表皮細胞の成長スピードを上げることが可能です。 表皮細胞の成長スピードが上がると肌が生まれ変わるサイクルが短くなり、これによって肌で起こるさまざまなトラブルを改善できます。 またトレチノインは海外ではFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されており、その効果と安全性が保障されている特徴があります。 日本ではまだ厚生労働省による認可が下りていないものの、副作用や注意点を守って使用すれば肌トラブルの改善に有用な薬です。 トレチノインの効果トレチノインには主に以下のような効果があります。
ここでは上記の効果についてそれぞれ解説します。 シミの改善トレチノインの主な効果として、シミの改善が挙げられます。 トレチノインは皮膚の古い角質を剥がし、肌のターンオーバーを促進する作用があります。 この作用によってシミの原因となっているメラニン色素を外に押し出し、シミを改善する効果が期待できるのです。 このシミの改善効果については、実際に行われた実験によって証明されています。 いくつかのプラセボ対照臨床試験では、局所トレチノインが光損傷皮膚の治療に顕著な有効性があることが実証されています。1 日 1 回 0.01% トレチノインを使用した患者の 49 〜 100%、0.05% トレチノインを使用した患者の 68 〜 100%、プラセボを使用した患者の 0 〜 44% で主観的全体評価スコアの改善が記録されました。 日光によって作られたシミ・シワの改善効果を試した上記の実験では、プラセボを使用した患者の改善効果(0〜44%)よりも、トレチノインを使用した患者の改善効果(49〜100%)のほうが高いという結果になりました。 ただしシミにもいくつか種類があり、トレチノインが有効なのは日光が原因で発生するシミ(日光性色素斑)や湿疹後にできるシミ(炎症後色素沈着やそばかす)、肝斑、扁平母斑などに限られます。 脂漏性角化症やほくろ、太田母斑などには効果がみられないため注意しましょう。 しわの改善トレチノインはしわの改善にも効果がみられることがわかっています。 トレチノインは肌のターンオーバーを促す効果だけでなく、コラーゲンの分泌量を高める効果もあります。 しわは加齢や紫外線、乾燥、生活習慣など、何らかの原因によってコラーゲンが劣化してしまうことによって起こる症状です。 トレチノインでコラーゲンの分泌量を高めることにより、肌のハリや弾力を取り戻すことができます。 目尻や口元にできる表情じわに悩んでいる方にもおすすめの治療薬です。 トレチノインはニキビに効果がある?「トレチノイン外用薬」は「イソトレチノイン内服薬」と名称は似ていますが、全くの別物です。 トレチノインは主にシミに使用するお薬であり、ニキビ治療には「イソトレチノイン内服薬」が効果的です。 飯室皮膚科では、イソトレチノイン内服薬によるニキビ治療を行っています。 トレチノインの副作用トレチノインを使用するうえで理解しておかなくてはいけない副作用として、『レチノイド反応』が挙げられます。 ここではレチノイド反応の症状や期間、この副作用が出やすい人の特徴などを解説しましょう。 レチノイド反応が起こるレチノイド反応はトレチノインの副作用で、主な症状として皮膚の発赤・紅斑・かゆみがみられます。 これはトレチノインの作用によって一時的に角質層が薄くなり、肌のバリア機能が低下することで起こる症状です。 肌のバリア機能が低下すると、紫外線や雑菌、乾燥、摩擦といった外部からの刺激を受けやすくなり、その結果として皮膚に発赤やかゆみといった肌荒れ症状が現れるのです。 またトレチノインの作用によって肌のターンオーバーが促され、古い角質が剥がれ落ちるため、ポロポロと皮膚が剥がれ落ちてきます。 レチノイド反応はトレチノインが正常に作用している証拠でもあるため、過度に心配する必要はありません。 レチノイド反応が治まるまでの期間の目安レチノイド反応はトレチノインを塗布してから1〜3日程度で現れ、1〜3週間程度で症状のピークを迎えます。 その後は徐々に症状が落ち着いてくることが多いですが、この期間についても個人差があります。 あまりに症状が強い場合やいつまでも症状がひかない場合は、自己判断で塗布をやめたりセルフケアをするのではなく医師に相談しましょう。 レチノイド反応が出やすい人の特徴レチノイド反応が出やすい人の特徴として、ビタミンAが不足している人が挙げられます。 具体的には以下のような人が当てはまるでしょう。
ビタミンAが不足している肌に大量のビタミンAが補われるとレチノイド反応が出やすい傾向にあるため、上記に当てはまる場合は少量から使用を始めることが大切です。 医師と相談しながら治療計画を立てましょう。 トレチノインを使用するときの注意点トレチノインを使用するときの注意点は以下の3つです。
ここでは上記3つの注意点についてそれぞれ解説します。 紫外線対策を徹底するトレチノインを使用するときの注意点として、紫外線対策を徹底することが挙げられます。 トレチノインを使用すると肌のバリア機能が低下し、紫外線によるダメージを受けやすい状態になります。 そのため普段以上に紫外線対策を徹底することが大切です。
日焼け止めの効果を持続させるためには、2〜3時間おきにこまめに塗りなおす必要があります。 日差しの強い日だけでなく、曇っている日や室内にいるときにも日焼け止めを塗るのを欠かさないようにしましょう。 また上記のような紫外線対策を徹底したうえで、乳液や保湿クリームなどで肌をしっかりケアすることも大切です。 保管方法や使用期限は医師の指示に従うトレチノインの保管方法や使用期限は必ず医師の指示に従いましょう。 トレチノインは保管する温度によって、成分の性質が変化してしまうことがあります。 トレチノイン0.05%クリームの保管温度ごとの性質の変化を調べたデータでは、25度以上の温度で保管し続けた場合、色調がわずかに退色したという結果がみられました。 製品ごとに適切な保管方法や使用期限があり、これらを守らないと効果がみられなくなる可能性があります。 トレチノインの効果をしっかり実感するためにも、保管方法や使用期限は医師の指示に従いましょう。 トレチノインを使用できないケースもあるトレチノインは妊娠・授乳中の方は使用できません。 これはトレチノインのビタミンA誘導体により、胎児の奇形リスクが高まるためです。 トレチノイン使用中に妊娠が発覚した場合は、すぐに使用を中止しましょう。 トレチノインに関するよくある質問トレチノインに関するよくある質問をまとめました。
ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。 トレチノインの治療期間は?トレチノインの治療期間は一般的に1〜3か月程度です。 治療目的や肌の状態、体質などによって個人差があるため、上記は一つの目安として覚えておくとよいでしょう。 トレチノインを塗り始めても皮剥けが起こらない場合は?レチノイド反応による皮剥けは、トレチノインを塗布してから2〜3日後から始まります。 1週間ほど様子を見てみて皮剥けが起こらない場合は、医師に相談したうえで朝晩の2回トレチノインを塗りましょう。 さらにそれでも皮剥けや赤みなどの症状が現れない場合は、ほかの治療方法を検討してみることをおすすめします。 レーザー治療との併用は可能?トレチノインとレーザー治療の併用はできません。 トレチノインを使用すると肌が敏感な状態になるため、その状態でレーザー治療を受けると副作用が強く表れる可能性があります。 一方の治療が終了して肌が健康的な状態になってから、もう一方の治療を行うようにしましょう。 ハイドロキノンとの併用は可能?トレチノインとハイドロキノンの併用は可能です。 クリニックの方針によって異なりますが、シミやシワの改善を目的とする場合は、トレチノインとハイドロキノンの併用が基本となる場合もあります。 ハイドロキノンはメラニン色素の合成抑制作用を持つ薬で、シミやそばかす、肝斑、ニキビ跡に効果的です。 上記のようなお悩みを持つ方でトレチノインとハイドロキノンの併用を検討する場合は、医師に相談してみるとよいでしょう。 まとめトレチノインはビタミンA誘導体で、シミやしわの改善に効果的な薬です。 トレチノインにはレチノイド反応という副作用があるため、使用する際は紫外線対策や保湿ケアを徹底することが大切です。 今回解説した注意点や医師の指示を守り、適切な方法で使用しましょう。 ニキビにお悩みでしたら、トレチノインではなく「イソトレチノイン内服薬」での治療が効果的です。 飯室皮膚科では、イソトレチノイン内服薬によるニキビ治療を行っています。 難治性ニキビや頑固なニキビにも効果的な治療方法となるため、ニキビにお悩みの方はぜひ当院まで気軽にご相談ください。 |